GLASSのWebデザイナー、中澤です。
今回は私自身理解するまで苦戦した、Figmaの料金や権限周りに関するお話をしたいと思います。
Figmaは、デザイン作業で広く利用されているツールであり、Figma(フィグマ)、FigJam(フィグジャム)といったサービスを提供しています。
しかし、これらのサービスの料金体系や権限設定は複雑で、誤解しやすい点が多々あります。
「想定よりも多い請求金額になってしまった!」「Figmaの権限と料金の関係性がよくわからないまま…」という方もいらっしゃるのではないでしょうか?
本記事では、各サービスの料金体系と、チーム内での課金者と無課金者の権限に関する注意点を解説します。
Figmaの料金管理で困っている方はぜひ最後までご覧ください!
※この記事では、「ユーザー」をFigmaの呼称である「メンバー」として記載しています。
各サービスの料金について
まずは、Figma、FigJamの料金プランをご紹介します。
Figmaの料金体系
料金プラン | 「スターター」 | 「プロフェッショナル」 | 「ビジネス」 | 「エンタープライズ」 |
---|---|---|---|---|
単月の月額 (編集者1人あたり) | 無料 | 2,250円 | 年払いのみ | 年払いのみ |
年払いの月額 (編集者1人あたり) | 無料 | 1,800円 | 6,750円 | 11,250円 |
おすすめな方 | 個人・小規模プロジェクト向け | 中小企業チーム向け | 大企業チーム向け | 大企業チーム向け (セキュリティ面も強化) |
スタータープランはすべて無料ですが、作れるファイル数に制限があります。
プロフェッショナル・ビジネス・エンタープライズの有料プランは、チームが所有するフルデザインシート(編集権限のあるメンバー)の数だけ料金が発生し、閲覧権限のみのメンバーは無料です。
各プランの詳細や最新情報は、公式サイトをご確認ください。
FigJamの料金体系
FigJamは、Figmaが提供するオンラインホワイトボードツールです。
Figmaのプランとは別に料金が設定されており、無料プランと有料プランがあります。
Figmaのプランがスターターの方は無料(ただし作れるファイル数に制限あり)で、プランがプロフェッショナル・ビジネス・エンタープライズの方は月750円で利用できます。(2024年11月末時点)
各プランの詳細や最新情報は、公式サイトをご確認ください。
参考:Figma Slide(ベータ版)の料金体系
Figma Slide(フィグマスライド)は、Figma内でプレゼンテーションを作成・共有できる機能です。
2024年11月現在、Figma Slideはベータ版のため、特化した独自の料金プランは提供されておらず、Figmaの各プラン内で利用可能です。
Figma Slidesについては、公式では以下のように案内されています。
Figma Slidesは、2024年中はベータ版としてご利用いただけます。2025年の初めには、スタータープランでは無料、有料プランではプランに応じて月額3ドルまたは5ドルになります。
Figma Slidesについての詳しい情報は公式サイトをご確認ください。
課金に関する注意点
多くの利用者は、Figmaの各サービスが一つの課金で無制限に利用できると誤解しがちです。
しかし、実際には各サービスごとに料金が設定されており、FigmaとFigJamは別々に課金されます。
また、料金体系でも記載したとおり、チーム内での編集権限を持つメンバー(エディター)は課金対象となり、閲覧のみのメンバー(ビューワー)は無料です。
そのため、チーム内での権限設定を適切に行わないと、不要な課金が発生する可能性があります。
編集権限のあるメンバー数=課金対象
編集権限を持つメンバー(エディター)が課金対象となります。
例えば、プロフェッショナルプラン・ビジネスプランのチームでは、以下のような支払いになります。
プラン (年払いの場合) | シート数 (=エディターのメンバー数) | 1カ月あたりの費用 | 年間の費用 |
---|---|---|---|
プロフェッショナル | 1 | 1,800円 | 21,600円 |
10 | 18,000円 | 216,000円 | |
50 | 90,000円 | 1,080,000円 | |
ビジネス | 1 | 6,750円 | 81,000円 |
10 | 67,500円 | 810,000円 | |
50 | 337,500円 | 4,050,000円 |
Figmaでは、ファイルごとに細かい権限設定が可能です。
しかし、この柔軟性が逆に複雑さを生み、適切に管理しないと無駄なコストが発生する原因となります。
チーム内で複数のメンバーに編集権限を付与すると、その分だけ課金対象が増加します。
「誰が編集するかわからないから社員全員を編集権限を持つメンバー(エディター)としておこう」と編集権限を無暗に付与してしまうと、想定上の請求金額になってしまうのでご注意ください…!
- FigmaとFigJamは別々の課金対象である。
- 編集権限を持つメンバー1人1人に費用が掛かるため、編集するメンバーの数は慎重に決める必要がある。
- 閲覧のみのメンバーは無料。
(管理者向け)過払い防止対策をしよう!
ここからは、チーム上の課金状態やFigmaの請求金額の確認方法、過払いしないために再確認したいポイントについてご説明します。
※手順の操作がすべて可能なメンバーは、権限が「オーナー」、「管理者」、「組織管理者」の場合です。
メンバーごとのデザインシート保有状態
- Figmaにログイン
- 「オーナー」、「管理者」、「組織管理者」のアカウントでFigmaにログインします。
- ファイルブラウザを開く
- 左側のサイドバーから「ファイルブラウザ」を選択します。
- 管理者メニューにアクセス
- サイドバー「管理者」をクリックします。
- メンバータブを選択
- 「メンバー」タブをクリックします。このタブでは、チームに招待されているメンバーのリストが表示されます。
デザインシートのタイプを確認
「デザインシートタイプ」とは、チームメンバーが有料メンバーか無料メンバーかどうかを判別するカテゴリのようなものです。
各メンバーのデザインシートタイプを確認できます。
シートタイプは、メンバーがどのような権限を持っているかを示す重要な情報です。
「デザインシート」の「フル」、「閲覧者」、「限定閲覧者」の違いについて、以下で説明します!
フル、閲覧者、限定閲覧者の3つのデザインシートのタイプの違い
- フル(有料シート)
- ファイルの作成と編集、各製品(課金したサービスごと)の全機能の使用、チームまたは組織の他のメンバーとの同時に作業することができます。
- 閲覧者(無料シート、デフォルト)
- ファイルを閲覧しコメントを追加することができます。
また自分のドラフトでファイルを作成し編集することもできます。 - Figmaの初期設定では新規メンバー追加時には、この「閲覧者」がデフォルト権限です。
- メンバーが自身で有料シートにアップグレード出来てしまうので、無意識に課金メンバー(フルシート)となってしまう危険があります。
- ファイルを閲覧しコメントを追加することができます。
- 限定閲覧者(無料シート)
- メンバーが自身で有料シートにアップグレードにできないことを除いて、閲覧者シートと同じものです。
ただし、限定閲覧者シートを持つメンバーが有料シートへアップグレードする場合は、管理者にアップグレードを申請することが必要となります。
管理者は、申請を承認または拒否できます。 - メンバーが許可なく有料シートへアップグレードすることを防ぐには、この限定閲覧者をデフォルト設定とすることが有効です。
- デフォルトのシートタイプを限定閲覧者に変更する方法は、プランごとに違います。公式サイトの手順を確認してください。
- メンバーが自身で有料シートにアップグレードにできないことを除いて、閲覧者シートと同じものです。
- デザインシートが「フル」のメンバーは有料課金されている。
- 新規メンバーを追加する時のデフォルトが「閲覧者」であり、メンバー自身で編集権限を取得して有料シートにアップグレードしてしまう可能性がある。
- 誤った権限付与が起こらないように、新規メンバー追加時の設定を「限定閲覧者」にすることがオススメ。
請求金額の確認手順
- 請求タブを選択:
- サイドバー「管理者」内の「請求」タブをクリックします。このタブでは、請求書の履歴や現在の請求金額を確認できます。
- (備考)請求書の確認:
- 請求タブ内で、過去の請求書の「請求書を表示」をクリックすることで、明細を確認できます。
万が一、請求額が想定よりも過払い状態になってしまっている場合でも、次回の請求書発行日までにメンバーのデザインシートタイプの見直しと調整を行えば請求額は即時に反映されるので問題ありません!
メンバーがシートをアップグレードした場合や、請求通知を受けるには
管理者の場合は、誰がアップグレードしたか、どのプランにアップグレードにしたかの通知や、請求額の確認メールを設定できます。
- 設定タブを選択:
- サイドバー「管理者」内の「設定」タブをクリックします。
- 「シートアップグレードの概要」「請求連絡先」をクリック:
- 「シートアップグレードの概要」(誰がアップグレードしたか、どのプランにアップグレードにしたかの通知)「請求連絡先」(請求額の通知)の通知先や通知頻度をそれぞれ設定します。
より確実な対策として:無料のチームを別で設ける(制限あり)
不要な課金を防ぐために、普段Figmaを使わない方が臨時でFigmaを利用する場合などは、ファイルを新規作成する際に別の無料チーム(スタータープラン)を作成するなどの手段を取るのが良いでしょう。
無料のチーム内で作成できるファイル数は、FigmaとFigJamでそれぞ3つまでに限られていますが、編集可のメンバーや閲覧のみのメンバーは何人でも招待できます。(2024年11月末時点)
ただし、スタータープランは1プロジェクトかつ3ファイルしか作成できず、ファイル管理が煩雑になるので、大規模プロジェクトではなく社内施策や個人作業向けの小規模なファイル作成時の運用としておすすめです。
- 新規メンバー追加時の設定を「限定閲覧者」にする。
- 請求額の確認をこまめに行う。
- 通知設定を行うことで確認の抜け漏れを防ぐ。
- 小規模なファイル作成であれば無料チーム(スタータープラン)で確実に過払いを防ぐ。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
Figmaの料金体系、複雑ですよね!
編集権限を持つメンバーの数や、各サービスの利用状況を定期的に見直し、余計な費用がかっていないかをチェックすることが重要です。
もし、Figmaを使い始めてから料金の見直しをしたことが無い場合は、ぜひこの機会にメンバーごとの権限確認をしてみてください!
illustration by Icons8
WEBデザイナー。2020年からは出版社のフロントエンジニア兼ディレクターとしてメディアの企画・運用改善に従事し事業成長に貢献。2023年に株式会社GLASS入社。