SEO対策は、AI活用の有無で成果が大きく変わる時代になりました。
ChatGPTやClaudeをはじめとした日本語対応のチャット型AIによって、ライティング業務などはかなりの効率化が進んでいる状況です。この記事では、SEOツールのAI機能の現状を調査しライティング以外の機能は実装されているのか?を共有させていただきます。
SEOを“分業ごと”に見るとAI活用が見えてくる
まずSEOについて整理をさせてください。SEOは、コンテンツ制作・分析・改善など複数の工程に分かれています。AIは特に「テキスト生成」「データ分析」「要約提案」などの領域で威力を発揮します。
| 分業タイプ | AIの活用可能性 | 向いているケース |
|---|---|---|
| コンテンツSEO | ・トピック設計 ・見出し提案 ・自動リライト | ・新規獲得を伸ばしたい ・記事量産 |
| 競合分析 | ・競合KW抽出 ・差分分析の自動レポート化 | 戦える領域を素早く把握したい |
| 順位チェック | ・自動分析 | 変動要因を自動で可視化したい |
| キーワード分析 | ・関連語群の自動抽出 ・意図分類 | 記事テーマを体系的に広げたい |
| アクセス解析 | ・AIレポート ・CTR改善提案 | データ分析を簡略化したい |
| 被リンク分析 | ・リンク品質のスコアリング(AI支援) | ・E-E-A-Tの補強 ・健全性維持 |
では、この分業ごとの視点から主要なSEOツールごとに調査結果をご報告させて頂きます。
主要SEOツールのAI機能について比較
分業ごとに〇-形式で比較表を作成しました、実際どのくらいAI機能が実装されているのでしょうか?(※日本語対応のツールのみ比較、2025/10/21 現在の調査なのでアップデートによりAI対応範囲が変わる可能性があります)
〇:AI対応している
-:AI対応していない
| ツール名 | コンテンツSEO | 競合分析 | 順位チェック | キーワード分析 | アクセス解析 | 被リンク分析 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Semrush | 〇 記事作成 | 〇 | - | - | - | - |
| Ahrefs | 〇 記事作成 | - | - | 〇 | - | - |
| EmmaTools | 〇 記事作成 | - | - | - | - | - |
| Keywordmap | 〇 記事作成 | - | - | - | - | - |
| SE Ranking | 〇 記事作成 | 〇 | 〇 | - | - | - |
| SEARCH WRITE | 〇 記事作成 | - | - | - | - | - |
ご覧のようにAIの実装はあまり進んでいない状況です。
そのためAIの機能差でSEOツールを策定することは現実的ではないといえます。
調査結果について考察
各社「記事作成(コンテンツライティング)」についてはAI実装が済んでいるという状況でした。特定のキーワードを入力するだけでコンテンツ形式の中身をアウトプットしてくれるという機能もあり大変魅力的です、しかしすでに各社のスタンダードという状況になっていることや、プロンプトさえ用意できればchatGPT などのAIで無料作成できてしまうことから「記事作成」に関しては差別化要因にはなっていないという状況でもあります。
一方で「競合分析」「順位」などの他機能についてはまだまだAI分析の付加価値を付ける余地があり、まだ実装されていないツールが目立ちます。Semrush、Ahrefs、SE Ranking についてはいくつかの機能が実装されていることを確認しました。
今後AIの機能が拡充しすべての項目にAIが標準搭載されるとしたらマーケティングをサポートする企業(我々のような組織)はどのような価値を顧客へ提供するのか?ということがより重要なテーマになってきます。またその日もとおくありませんので常にAIを意識したサービスの付加価値について知識を深めております。
今できるAI活用の方向性|“内製×汎用AI”
調査から見えてきたのは、主要ツールのAI化が進む一方で、ライティング以外の領域はまだ伸びしろが大きいという現実です。高額な追加モジュールを待つよりも、まずは手元のデータと汎用AI(例:ChatGPT)を組み合わせて、意思決定の速度を上げる発想が有効です。
- コスト最適化
有料ツールは“事実の取得”(順位・被リンク・検索クエリなど)に使い、示唆の生成(要因仮説、優先度付け、見出し案)は汎用AIで補完。高機能オプションを買い足さなくても、運用レベルでは十分に回せるかと思います。 - スピード重視の運用
週次で「何が起きたか/なぜか/次に何をするか」を定型化し、汎用AIに短時間で要約させる。完璧な自動化よりも、小さく早く回すPDCAの方が成果につながりやすい。 - “待たない”内製化
ベンダーのAI機能拡張を待たず、まずは自社の指標・用語・判断基準をテンプレート化してAIに学習させる。自社の判断ロジックをプロンプトに固定することで、ブレない分析が可能に。 - 検証文化の定着
AIの提案は仮説にすぎません。タイトル差し替えやFAQ追加など、1施策ずつABテストで検証し、ヒットした型を運用標準に組み込む。 - ガバナンス配慮
機密情報の取り扱い、出所の明記、再現性のあるプロンプト管理をセットで運用。結果よりも意思決定の透明性が、社内の納得感と継続性を支えます。
“ツールに任せきり”から“自社の判断軸×汎用AI”へ。この視点転換が、コストを抑えながらもPDCAの回転数を高め、変化の速いSEOで優位に立つ近道になります。
まとめ|
本調査の時点では、主要SEOツールのAI化はまだ完全ではありません。高価なツールに全面依存せず、まずはChatGPTなどの汎用AIを活用してコストを抑えつつ実務に組み込む選択肢も有効です。いずれにせよ、AIによってPDCAは加速し続けており、意思決定スピードに追随できるかがSEOをはじめデジタルマーケティング全体の課題になっています。重要なのは、コスト最適化だけでなく、ベンダーのAI提供を待たずに自社でAI連携を進め、分析・改善を自走化すること。スピードと内製化が、これからの競争力の源泉になるはずです。

株式会社GLASSのメンバーです。GLASSではテクノロジー活用に特化したデジタルマーケティング・DXのコンサルティングを行っています。マーケティング施策の中心となる「データ基盤」の構築・戦略設計・施策展開を支援し、エージェンシー的に実務代行も一貫して行うことで常に成果にコミットしています。
