AIツールを利用するにあたって「出力品質がバラバラで困っている」こうした悩みはないでしょうか?
特に、チーム単位で生成AIを活用する場合、品質が安定しない、過去に使ったプロンプトを探せない、共有が面倒、といった課題が起こりがちです。この記事では、専門的なITスキルがなくても今日から実践できる、AIプロンプトの効率的な管理・共有方法を紹介します。
AIプロンプト管理の必要性
生成AIの出力品質は、プロンプトの設計に大きく左右されます。同じタスクでも、プロンプトの書き方ひとつで結果が劇的に変わることを、多くの方が実感しているはずです、例えば…
あいまいな指示の例:
「営業資料を作って」
具体的な指示の例
「新商品Aの特徴を3つ、競合他社との違いを2つ含めた、初めての顧客向け営業資料を作成してください。各特徴は100字程度で、専門用語は使わず中学生でもわかる表現でお願いします」
後者のほうが、より期待に近い結果が得られることは明らかだと感じませんか?
プロンプト管理がもたらす3つの具体的メリット
① 時間の大幅短縮
- 過去に使って効果のあったプロンプトをすぐに再利用できる
- 毎回ゼロから考える手間が省け、本来の業務に集中できる
- 例:議事録作成が30分→10分に短縮できたケースも
② 成果物の品質安定
- 同じプロンプトを使えば、誰が作業しても一定水準の品質を維持
- 顧客対応メールや提案書など、企業の「顔」となる文書で特に重要
- 担当者が変わっても同じレベルの結果を出せる
③ チーム全体のナレッジ共有
- 個人の経験やコツをチーム全体の財産として蓄積
- 新しいメンバーのトレーニング時間を大幅に短縮
- 属人化を防ぎ、組織としての生産性向上につながる
想定されるビジネス効果例
営業部門で想定すると「顧客ごとに最適化した提案書作成プロンプト」を共有することで、新人でも一定レベル以上の提案書を作れるようなるり、対応時間が平均20~40%短縮。のようなケースになると考えられます。(どのぐらい効率化
プロンプト管理は難しいITスキルではなく、「デジタル時代の整理整頓術」なのです。
プロンプト管理の基本3ステップ
ステップ1:保存する(まずは記録から)
よく使うプロンプトは必ず記録し、チームでナレッジ化することをオススメします。
手段:エクセル・スプレッドシートで体系管理
まずは表形式での管理がおすすめです。検索性が高まり、複数の情報を一覧できます。
※ただしエクセル・スプレッドシートの場合には1つのセルに挿入できるデータ量が限られているため長文のプロンプトの管理には機能が不十分です。
- プロンプト名:「新商品説明文作成」
- プロンプト本文:実際の指示文全文
- 使用目的:「営業資料用」「社内説明用」
- 使用AIモデル:「ChatGPT-4」「Claude 3.5」など
- 効果評価:★~★★★★★で5段階評価
- 作成日・最終使用日:日付を記録
- 時間短縮効果:「従来30分→現在10分」など具体的に
- 改善メモ:「専門用語が少なく、わかりやすい説明ができた」
補足:ツールについて
チームで共有したい場合は、無料で使えるクラウドサービスが便利です。
- Googleスプレッドシート:複数人での共同編集が可能、スマホからもアクセス可
- Notion:データベース機能が強力、テンプレート管理に最適
- Microsoft OneNote:ノート感覚で使いやすい、検索機能も充実
以下はNotionにプロンプトを記述した例です。
Notion はソースコードを記述する機能や、トグル機能(開閉)ソースの全体をワンクリックでコピーする機能などがあるため完成されたプロンプトをライブラリとして保存するならばスプレッドシートよりも使い勝手は良いです。

保存時に必ず記録すべき5つの情報
- プロンプト本文
- 使用した日時(いつ効果があったか)
- 使用したAIモデル(ChatGPT-4、Claude 3.5など)
- どんな場面で使ったか(具体的な業務シーン)
- 出力結果の満足度(5段階評価など)
これらを記録しておくことで、後から「なぜこのプロンプトが良かったのか」を分析できます。
ステップ2:分類・検索しやすくする
プロンプトが増えてきたら、探しやすくするための工夫が重要です。
基本の分類軸
- 業務・部門別:営業、カスタマーサポート、マーケティングなど
- 用途別:文章作成、要約、翻訳、データ分析など
- 難易度別:初心者向け、中級者向け、上級者向け
効果的な命名規則
部門_用途_特徴
例:営業_提案書作成_IT業界向け
例:CS_メール返信_クレーム対応_丁寧版
命名のポイント
- 一目で内容がわかる具体的な名前
- 検索キーワード(「問い合わせ」「提案書」など)を含める
- バージョンは別列で管理(v1.0をファイル名に入れない)
タグ付けで検索性向上
一つのプロンプトに複数のタグを付けます:
プロンプト名: 顧客メール返信_丁寧版
カテゴリ: カスタマーサポート
タグ: メール, 顧客対応, 初回, 丁寧
フィルター機能を活用
スプレッドシートのフィルター機能で:
- 「使用頻度:高」でよく使うプロンプトだけ表示
- 「評価:★4以上」で高品質なプロンプトだけ表示
- よく使う条件は「フィルタービュー」として保存
ステップ3:定期的に更新する
AIツールは日々進化しています。プロンプトも定期的に見直しましょう。
効果的な更新サイクル
月次レビュー(毎月1回、15分)
- 使用頻度の高いプロンプトの効果を検証
- 「今月のベストプロンプト」を選出
- 使わなくなったプロンプトをアーカイブ
四半期レビュー(3ヶ月に1回、30分)
- AIモデルのアップデート情報を確認
- プロンプトの大規模な見直しや統合
- チーム全体での振り返りミーティング
バージョン管理の実例
| プロンプト名 | バージョン | 更新内容 | 更新日 | 評価 |
| 顧客メール返信_丁寧版 | 2.1 | 具体例を追加、出力品質20%向上 | 2024/11/05 | ★★★★★ |
| 顧客メール返信_丁寧版 | 2.0 | 構造を全面見直し | 2024/10/10 | ★★★★☆ |
| 顧客メール返信_丁寧版 | 1.0 | 初版作成 | 2024/08/15 | ★★★☆☆ |
更新時のポイント
- 改善履歴を必ず記録(何を変えて、どう良くなったか)
- 古いバージョンは削除せず、履歴として残す
- モデル更新時は、主要プロンプトを再テスト
バージョン管理の実例
プロンプト名:顧客メール返信_丁寧版
v1.0 (2024/01/15):初版作成
├─ 基本的な返信テンプレート
└─ 評価:★★★☆☆
v1.5 (2024/02/20):具体例を追加
├─ より具体的な例文を含めることで理解しやすく
└─ 評価:★★★★☆(出力品質が20%向上)
v2.0 (2024/04/10):構造を全面見直し
├─ 顧客の状況に応じた分岐を追加
├─ Claude 3.5に最適化
└─ 評価:★★★★★(作成時間も30%短縮)
おすすめのプロンプト管理ツール
ツール選びは、チームの規模や技術レベルに合わせることが重要です。高機能なツールほど良いわけではありません。
個人利用からスモールチームまで(5名以下)
- メリット:導入コストゼロ、即日スタート可能、誰でも使える
- デメリット:高度な検索機能には限界がある
- おすすめポイント:まず始めてみたい方に最適。共有設定も簡単
- 始め方:テンプレートを用意しているので、コピーして使うだけ
- メリット:視覚的に整理しやすい、データベース機能が強力、テンプレート豊富
- デメリット:無料プランでは人数制限がある(最大10名)
- おすすめポイント:非エンジニアでも扱いやすく、見た目もきれい
- 活用のコツ:プロンプトごとにコメント欄を設けて改善案を蓄積
- メリット:ノート感覚で使いやすい、Office 365との連携が良い
- デメリット:構造化されたデータ管理はやや苦手
- おすすめポイント:すでにOffice環境がある企業に最適
中規模チーム(10〜50名)
- メリット:ビジネスコミュニケーションと管理が一体化、リアルタイムコメント可能
- デメリット:日本語ドキュメントがやや少ない
- おすすめポイント:チームでの協働作業がしやすい
- 活用例:プロンプト共有とフィードバックが同じ場所で完結
AI特化型専門ツールの一例
- メリット:プロンプトのバージョン管理、A/Bテスト、パフォーマンス分析に特化
- デメリット:技術的な知識がある程度必要、英語インターフェース
- おすすめポイント:データドリブンな改善を本格的に進めたい企業向け
- 活用シーン:API経由でAIを利用している開発チームに最適
本格的な企業導入向け
GitHub(バージョン管理システム)
- メリット:変更履歴の完全な追跡、ブランチでの実験、レビュープロセスが充実
- デメリット:Git操作の習得が必要
- おすすめポイント:開発チームなら既存のワークフローに統合できる
- 活用例:プロンプトをコードと同様に管理し、CI/CDと連携
社内独自システム
- 高度なセキュリティ要件がある場合は、社内システムとしての構築も検討
- 機密情報を含むプロンプトを外部サービスに保存したくない企業向け
ツール選びの3つのポイント
- 現在のITリテラシーに合わせる
- 高機能より「使い続けられるシンプルさ」を優先
- 段階的に移行する
- 最初はGoogleスプレッドシート→慣れたらNotion→本格運用で専門ツール
- 費用対効果を考える
- 無料ツールで十分なケースも多い。有料化は必要性を感じてから
チーム運用を成功させる実践的なコツ
個人での管理とチームでの管理では、求められるポイントが大きく異なります。ここでは、実際のチーム運用で効果のあった具体的なコツを紹介します。
ルール設定
チーム全員が同じルールで運用しないと、すぐに混乱します。キックオフミーティングで以下を明確に決めましょう。
決めるべき5つのルール
- シート名命名規則
【部門】_【用途】_【特徴】_vX.X
例:営業_提案書_IT業界向け_v1.2
- タグ体系
レベル1(必須):部門名
レベル2(必須):用途
レベル3(任意):難易度、対象、AIモデル
- 更新ルール
- 誰が更新できるか(全員 or 承認制)
- 更新時に何を記録するか
- 古いバージョンの保管方法
- 評価基準
★★★★★:そのまま使える、大幅な時間短縮
★★★★☆:少しの修正で使える
★★★☆☆:使えるが手直し必要
★★☆☆☆:参考程度
★☆☆☆☆:要改善
- レビュープロセス
- 新しいプロンプトの承認フロー
- 重要度の高いプロンプトのダブルチェック体制
ルール設定のポイント
完璧を目指さず、「まず始めてみて、1ヶ月後に見直す」というスタンスが重要です。最初から複雑なルールを作ると、誰も守れなくなります。
ベストプラクティス集
特に効果的だったプロンプトは、全員が参照できる特別な場所にまとめましょう。
ベストプラクティス集の作り方
- 毎月の「今月のベストプロンプト」を選出
- チーム投票で決める(民主的で参加意識が高まる)
- 時間短縮効果や品質向上が顕著だったものを選ぶ
- 成功事例とセットで紹介
プロンプト名:顧客提案書_課題解決型
成功事例:
- A社への提案で採用され、200万円の受注につながった
- 提案書作成時間が2時間→30分に短縮
- 顧客からの質問が従来比50%減少(わかりやすさの証明)
なぜ優れているか:
- 顧客の課題を明確に定義してから解決策を提示する構造
- 専門用語に必ず説明を付ける配慮
- 具体的な数値目標を含めることで説得力が増す
- 使い方の動画やスクリーンショットを添える
- 3分程度の簡単な動画で使い方を説明
- 入力例と出力例を並べて見せる
更新履歴
プロンプトがどう進化したかを記録することで、チーム全体の学習が加速します。
効果的な更新履歴の書き方
プロンプト:営業メール_初回アプローチ
v1.0 (2024/01/10 田中作成)
- 初版作成
- 評価:★★★☆☆
- 課題:やや堅苦しい印象、返信率15%
v1.5 (2024/02/15 佐藤改善)
- 冒頭に具体的なメリットを追加
- 評価:★★★★☆
- 改善効果:返信率15%→25%に向上
- 学び:最初の1文で興味を引くことが重要
v2.0 (2024/03/20 鈴木改善)
- 業界別のカスタマイズ例を追加
- 文章量を30%削減(簡潔さ重視)
- 評価:★★★★★
- 改善効果:返信率25%→35%、商談化率も10%向上
- 学び:業界特有の課題に触れると反応が劇的に向上
このような記録があれば、新メンバーも「なぜこのプロンプトが優れているのか」を理解でき、さらなる改善のヒントも得られます。
定期的なレビュー会
月に1回、30分程度のプロンプトレビュー会を設けましょう。
効果的なレビュー会の進め方
第1週(15分):新プロンプト紹介
- 今月追加されたプロンプトを2〜3個紹介
- 作成者が背景と使い方を説明
第2週(15分):改善相談
- 「こんなプロンプトが欲しい」というリクエスト共有
- 困っているプロンプトをみんなで改善
第3週(15分):ベストプラクティス共有
- 特に効果があったプロンプトの成功事例発表
- 使用頻度トップ3の分析
第4週(15分):AIモデル最新情報
- ChatGPT、Claudeなどのアップデート情報共有
- 新機能を活かしたプロンプト改善の提案
参加率を高める工夫
- オンライン参加OK(Zoom等)
- 事前にアジェンダを共有
- 15分厳守で負担を最小限に
- 発表者にはインセンティブ(お菓子、表彰など)
よくある課題と実践的な解決法
プロンプト管理を続けていく中で生じがちな問題と、実際に効果のあった解決法を紹介します。
課題1:プロンプトが増えすぎて管理できない
症状
- 100個以上のプロンプトがあり、どれを使えばいいかわからない
- 似たようなプロンプトが複数あって混乱する
- 検索しても目的のプロンプトが見つからない
解決策
即効性のある対策:「頻出トップ10」フォルダ(またはシート)を作る
プロンプト集
├─【よく使うトップ10】★ここを常に見る
│ ├─ 会議議事録テンプレート
│ ├─ 顧客メール返信_基本
│ └─ 提案書作成_標準版
└─ 全プロンプト(アーカイブ的に保管)
根本的な対策:定期的な棚卸し
- 半年以上使われていないプロンプトは「過去ログ」フォルダに移動
- 類似プロンプトは統合して汎用性を高める
- 「これは本当に必要か?」と自問する習慣
使用頻度の可視化 スプレッドシートに「最終使用日」列を作り、色分けする
- 緑:1ヶ月以内に使用(よく使う)
- 黄:3ヶ月以内に使用(たまに使う)
- 赤:6ヶ月以上未使用(アーカイブ候補)
課題2:良いプロンプトが思いつかない
症状
- ゼロから作るのが難しい
- AIの出力が期待と違うが、どう改善すればいいかわからない
- 他の人のような高品質なプロンプトが作れない
解決策
学習方法1:既存プロンプトの改造から始める
元のプロンプト:
「商品の特徴を説明してください」
改造プロンプト:
「商品Aの特徴を3つに絞って説明してください。
各特徴は100字程度で、専門用語を使わず、
具体例を1つ含めてください。最後に、競合製品Bと比較した
独自の強みを1つ加えてください。」
学習方法2:うまくいかなかった経験を糧にする
失敗プロンプトの分析シート:
使ったプロンプト:「報告書を作って」
何が問題だったか:
- あいまいすぎて、AIが何を書けばいいかわからなかった
- 出力が長すぎて、要点が見えなかった
改善のヒント:
- 報告書の目的を明確に(週次報告、プロジェクト報告など)
- 文字数制限を指定する
- 含めるべき項目を列挙する
改善後のプロンプト:
「先週の営業活動について、以下の項目を含む週次報告書を
800字程度で作成してください:
1. 新規商談件数と進捗状況
2. 成約した案件の概要
3. 来週の重点活動
4. 課題と対策」
学習方法3:社内外のプロンプトライブラリを参考にする
- 社内のベストプラクティス集を徹底的に研究
- ChatGPT公式のプロンプト例を参照
- オンラインのプロンプト共有サイトで学ぶ(PromptBase、Prompt Perfectなど)
課題3:チームでの共有がうまくいかない
症状
- プロンプト集を作っても誰も使ってくれない
- 更新や追加が一部の人に偏る
- フィードバックが集まらない
解決策
対策1:「まず使ってもらう」ハードルを下げる
✗ 悪い例:
「プロンプト管理システムを導入しました。
全員マニュアルを読んで使ってください」
○ 良い例:
「明日の会議の議事録、このプロンプトをコピペするだけで
5分で作れます。試してみてください!」
具体的な成功体験を最初に提供することが重要です。
対策2:興味を持つ人から小さく始める
全員を巻き込もうとせず、まずは:
- AI活用に前向きな2〜3人と始める
- 成功事例を作る
- 「楽になった」という実感を周囲に見せる
- 自然に広がるのを待つ
無理に推進すると、かえって抵抗が生まれます。
対策3:具体的なメリットを数値で示す
プロンプト導入前後の比較
【会議議事録作成】
従来:30分 → プロンプト使用後:5分(25分短縮)
【顧客メール返信】
従来:15分 → プロンプト使用後:3分(12分短縮)
【週次報告書】
従来:45分 → プロンプト使用後:10分(35分短縮)
月間で約10時間の工数削減を実現!
こうした具体的な数値があると、「自分も使ってみよう」という動機づけになります。
対策4:フィードバックを「超簡単」にする
✗ 悪い例:
「プロンプトの改善提案を詳細に記入してください」
→ 面倒で誰も書かない
○ 良い例:
「このプロンプト、役立ちましたか?」
[👍 役立った] [👎 イマイチ]
→ ワンクリックで完了
詳細なフィードバックは、関心の高い人だけが任意で書けば十分です。
課題4:プロンプトの効果にばらつきがある
症状
- 同じプロンプトでも日によって出力品質が違う
- あるメンバーはうまく使えるが、別のメンバーはうまくいかない
- AIモデルが更新されると、急に使えなくなる
解決策
対策1:AIの「調子の波」を前提にする
AIは完璧ではありません。以下を理解しておきましょう:
- 同じプロンプトでも時々異なる結果が出る
- 特に重要な場面では、複数回実行して最良のものを選ぶ
- 最終的な確認は人間が行う(AIは「下書き」を作るツール)
対策2:プロンプトに「チェックリスト」を埋め込む
プロンプト例:顧客提案書作成
以下の要件を満たす提案書を作成してください:
【必須項目】
✓ 顧客の課題を明確に記述する
✓ 提案する解決策を3つ挙げる
✓ 各解決策の期待効果を数値で示す
✓ 実施スケジュールを含める
✓ 概算費用を記載する
【品質基準】
✓ 専門用語には必ず説明を付ける
✓ 全体で1,500字程度
✓ 中学生でも理解できる平易な表現
✓ 具体例を最低2つ含める
上記を確認してから出力してください。
このように明確な基準を示すことで、出力のばらつきが減ります。
対策3:モデルのバージョンを記録する
プロンプト管理シートの列に追加:
- 推奨モデル:「ChatGPT-4」「Claude 3.5 Sonnet」
- 最終動作確認日:2024/11/05
- モデルバージョン:GPT-4 Turbo (2024-04-09)
モデルが更新されたら、主要なプロンプトを再テストし、必要に応じて調整します。
対策4:「使い方のコツ」を明記する
プロンプト:商品説明文生成
【使い方のコツ】
- 商品名は具体的に(「新商品A」ではなく「ワイヤレスイヤホンX200」)
- ターゲット顧客を明示すると精度が上がる
- 1回目の出力が気に入らない場合、「もう少し具体的に」と追加指示
- 佐藤さんの使い方動画も参考に(社内wiki参照)
プロンプト管理を習慣化し、ビジネスに活かす
最後に、プロンプト管理を一時的なブームで終わらせず、継続的なビジネス改善につなげるためのポイントをまとめます。
継続するための5つの習慣
習慣1:「使ったらすぐ保存」をルール化
理想的なワークフロー:
1. AIツールでタスク実行
2. 結果が良かった → その場で保存(30秒)
3. 結果がイマイチ → 改善点をメモ(30秒)
4. 週に1回、5分だけ整理タイム
累計:週に5〜10分の投資で済む
「後でまとめて整理しよう」は失敗のもと。その場で記録する習慣が重要です。
習慣2:「今月のベストプロンプト」を選ぶ
毎月末に5分だけ
- 今月特に役立ったプロンプトを1つ選ぶ
- なぜ良かったのか、50字程度でメモ
- チームで共有する
これだけで、プロンプトの品質が自然に向上します。
習慣3:カレンダーにリマインダー設定
毎週金曜 16:50
「プロンプト整理タイム(5分)」
毎月最終金曜 16:45
「今月のベストプロンプト選出(10分)」
四半期ごと
「プロンプト集の大掃除(30分)」
スケジュールに組み込むことで、「忙しくて忘れてた」を防げます。
習慣4:小さな成功体験を記録する
プロンプト活用日誌(簡単でOK)
2024/11/05
- 使用プロンプト:会議議事録テンプレート
- 時間短縮:30分 → 5分(25分削減)
- 気づき:事前に議題を整理しておくとさらに効果的
累計時間短縮:今月 2.5時間
「効果が見える」ことがモチベーション維持の鍵です。
習慣5:完璧主義を捨てる
✗ 完璧を目指す:
- すべてのプロンプトを完璧に分類
- 詳細なドキュメントを作成
- 全員に徹底させる
→ 疲れて挫折する
○ 7割主義で継続:
- よく使うものだけしっかり管理
- メモは簡潔に
- できる人ができる範囲で
→ 無理なく続く
ビジネスインパクトを測定する
プロンプト管理の効果を可視化することで、継続のモチベーションと組織的な支援を得られます。
測定すべき3つの指標
1. 時間削減効果
月次レポート例:
【営業部】
- 提案書作成:20時間 → 8時間(12時間削減)
- メール作成:15時間 → 6時間(9時間削減)
- 合計:21時間削減(従来比60%削減)
【カスタマーサポート】
- 問い合わせ対応:30時間 → 18時間(12時間削減)
- マニュアル作成:10時間 → 4時間(6時間削減)
- 合計:18時間削減(従来比45%削減)
全社合計:月間39時間の削減
金額換算:約20万円相当の工数削減
2. 品質改善効果
定量的指標:
- 顧客メールの返信率:15% → 28%(87%向上)
- 提案書の採用率:20% → 32%(60%向上)
- 社内文書の修正回数:平均3回 → 1回(67%削減)
定性的指標:
- 「わかりやすい」と評価された割合:45% → 78%
- 新人の独り立ち期間:3ヶ月 → 1.5ヶ月
3. 組織学習効果
ナレッジ蓄積:
- プロンプト数:開始時10個 → 6ヶ月後80個
- アクティブユーザー数:3人 → 25人
- 部門横断での共有件数:月5件
イノベーション:
- 新しいAI活用アイデア:四半期で12件
- 業務プロセス改善提案:8件
まとめ:小さな一歩から、大きな変革へ
AIプロンプトの管理は、特別なITスキルや高額なツールを必要としません。重要なのは、「日々の小さな工夫を積み重ねる習慣」です。
今日から始められる3つのアクション
アクション1:今週中に「AIプロンプト集」を作る
- パソコンにフォルダを1つ作るだけ
- または、Googleスプレッドシートを1つ開くだけ
- 所要時間:3分
アクション2:今日使って効果があったプロンプトを1つ保存
- 完璧な分類は不要、とりあえず保存
- ファイル名は「メモ程度」で十分
- 所要時間:1分
アクション3:来週同じ業務があるとき、保存したプロンプトを使ってみる
- 時間短縮効果を実感する
- 改善点があればメモする
- 所要時間:0分(むしろ時短)
プロンプト管理の本質
プロンプト管理は、単なる「テキストの整理」ではありません。それは、仕事の知恵をデジタル資産として蓄積し、チーム全体で共有・進化させていく取り組みです。
うまくいった方法、効率的なやり方、お客様に喜ばれた表現——これらを、AIの力を借りて再現可能な形で残していく。その積み重ねが、個人の生産性向上だけでなく、組織全体の競争力強化につながります。
すぐに改善を始めれば、3ヶ月後、半年後、あなたとあなたのチームの働き方が、驚くほど変わっているはずです。
GLASSでは、AIを活用した業務効率化を積極的に推進しています。「AI導入を検討しているが、どこから始めればよいかわからない」「自社に最適なAI活用方法を知りたい」といったご相談から、具体的な導入支援まで幅広くサポートしております。
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