WordPress × HubSpot:公式プラグインでサブフォルダー共存を実現する方法

HubSpotはCRM(顧客管理)、SFA(営業支援)としてよく知られていますが、ウェブサイトのホスティングも可能です。直近の案件でこのHubSpotでホスティングされたサイトの一部(具体的にはランディングページ)を残しつつ、メインページをWordpress.comに移行しようとした際にハマりポイントがいくつかあったので、本記事でご紹介します。


今回の目的と前提

  • HubSpotで作成したウェブページやランディングページを、WordPress.comの配下(例:www.example.com/campaign/)で表示したい
    • WordPress.com(WordPress.comのパッケージインストール版ではなく、ホスティングサービス版)はバージョンアップなどの保守面を考慮して選定していた
  • HubSpot公式のWordpressプラグインをインストールし、「サブフォルダーでホスティング」機能を使ってリバースプロキシを実現
    • cloudflareなどの外部プロキシサービスは利用しない

参考:
HubSpot公式ドキュメント
・【HubSpot】WordPressサイトのサブディレクトリでHubSpotコンテンツをホスティングする方法(ベータ)


実装時に直面した課題と解決策

✅ 課題1:「サブフォルダーでホスティング」機能は同一ドメイン前提

HubSpotとWordPressが同一ドメインで設定されていない場合、リバースプロキシは機能しません
この点は現時点で公式記事に記載がなく、HubSpotとWordPress.comのサポートにも問い合わせて判明しました。

  • www.example.com(HubSpot)と blog.example.com(WordPress)など異なるサブドメインでは非対応
  • 異なるサブドメインで設定しようとするとWordPressのHubSpotプラグインにてエラーとなります

本機能の設定箇所は上記キャプチャの HubSpot > 設定 > ドメイン です。
こちらにWordpressに設定しているサブドメイン = HubSpotで設定しているサブドメインを入力します。

その他の注意点ですが、「HubSpotパス」で指定できるのは①直接のページへのパス、もしくは、② * を使ったディレクトリ指定のみです。正規表現などでの柔軟な指定はできません。
また、入力できるのは「HubSpotパス」のみです。「Wordpressパス」は「HubSpotパス」に入力したものと同じものが自動的に入ります。つまり、この設定によって Wordpressの/blog/* へのアクセスを、 HubSpotの/lp/* にリダイレクトさせるようなことはできません。


✅ 課題2:WordPress.comではwww付きのドメイン運用ができない

以下の記事抜粋のとおり、WordPress.comではwww付きドメインは許可されておらず、www無しにリダイレクトされる仕様になっています。

今回、HubSpot側がすでに wwwありで運用されており、運用上変更は困難でした。
WordPress.comでは意図的なwwwありが設定できず、内部的にwww無しにリダイレクトされてしまうため、課題1の同一ドメインの前提を満たすことができないと判断しました。

  • HubSpotの公式サイトでは下記の通り、WordPress.comがビジネスプランで利用できる旨の記載はありますが、このwwwありに関する条件は記載がないため注意が必要です。
  • 今回は、Wordpress.comを諦め、WordPress.orgを用いて自前のサーバーにWordPressを構築することにしました

✅ 課題3:HubSpotのドメイン設定は「公開準備中」である必要がある

これは公式記事にも記載がありますが、誤りやすいポイントかな?と思いました。
ドメイン設定でのステータスは「未接続」「公開準備中」「接続済み」があります。本機能を使うには「公開準備中」のステータスに変更する必要があります

以下キャプチャのように、手順では「未接続」を「公開準備中」にするとなっていますが、「接続済み」であっても「公開準備中」に戻すように、ということでもあるので注意が必要です。

↑公式サイトのキャプチャ(ここでは「未接続」→「公開準備中」の案内)

リバースプロキシ越しでしかアクセスできないようにする(直接HubSpotにアクセスはしない)という状況を作るために「接続済み」ではいけないという理解です。

もちろんこれにより、公開しているウェブページやランディングページにはリバースプロキシ設定完了までアクセスできなくなるので注意しましょう。

  • リバースプロキシ機能で表示するには、HubSpot側のページ状態を「公開準備中」にしておく必要があります
  • 「公開中」にしてしまうと、WordPress側でのリバースプロキシがうまく動作しません

補足:参考にした技術ブログと現在の仕様の違い

今回の設定にあたって、以下の技術ブログも参考にしました:

HubSpotをWordPressのサブフォルダで表示させる方法(ベータ機能)|ryamagami blog

このブログでは、サブフォルダーでのホスティング機能がベータ版のため「HubSpot側で機能を有効にする必要がある」と書かれています。
しかし、2025年7月現在は、Wordpress側でプラグインをインストールすれば利用可能な状態になっていました。HubSpot側のベータ機能の一覧を探しても該当する機能のON/OFF設定は無いので注意してください。


まとめ:設定前に確認すべきチェックリスト

✅ WordPressでHubSpot公式プラグインを使って、HubSpotのウェブページを共存させるためのチェックポイント

  • WordPressとHubSpotが同一ドメインの設定になっているか
  • WordPressは wordpress.comwordpress.org か?(前者はwww付きにできない)
  • HubSpotのコンテンツは「公開準備中」になっているか?

おわりに

公式機能として紹介されている「サブフォルダーでのホスティング」ですが、実運用では同一ドメインの制限やドメインのステータスなど注意が必要です。
本記事が、同様の構成を検討している方の一助になれば幸いです。

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