ECではないサービス業や対面型のビジネスでは、Webサイトを経由して電話・LINE・フォームからの問い合わせがコンバージョンポイントになることが多くあります。しかし、これらのチャネルでは「誰が」「どの広告から」来たのかを正確に特定するのが難しく、広告の最適化にも課題が残ります。
本記事では、電話・LINE・フォームにおいてユーザー単位のトラッキングを実現し、広告の最適化に活かす方法を紹介します。
各チャネルにおける現状と計測の限界
電話の場合
サイトに記載された電話番号のクリックをGTMで計測するのが一般的
限界:誤タップや既存顧客など、”成果”として評価できないケースが多い
LINEの場合
LINEの友だち追加リンクのタップ数をGTMなどで計測
限界:電話同様に誤タップや既に友だち登録済みの既存ユーザーの可能性がある。
フォームの場合
送信ボタンのイベントやサンクスページの表示を計測
限界:比較的正確な計測が可能だが、営業目的など成果とならないケースも含まれる

計測方法の網羅的なリスト
電話での3つの計測アプローチ
1.簡易的なタップ計測(前述の一般的な方法)
GTMで電話リンクのタップ数を計測。
2.誤タップ除外の計測
10秒以内に戻ってきたユーザーを「誤タップ」とみなし除外。
3.コールトラッキングツールの導入
流入元ごとに電話番号を動的に切り替え、ユーザーの経路を特定。GCLIDなどと紐付けて、広告最適化にも利用可能。
LINEでのトラッキング手法
1.簡易的なタップ計測(前述の一般的な方法)
GTMでLINEリンクのタップ数を計測
2.事前発行式の友だち追加URL別の流入元特定
各広告ごとに事前に異なるLINE友だち追加リンクを発行して追加すうを計測する
3.LINE連携ツールによるユーザー特定
LINE連携ツールで、友だち追加時に広告パラメータ(GCLIDやUTM)を紐付け。精度の高いトラッキングが可能。
フォームでのトラッキング手法
1.簡易的なサンクスページ計測(前述の一般的な方法)
フォーム送信ボタンで計測されることもある
2.トランザクションIDを発行してユーザー特定
その後の予約や購入に至ったかの状態紐づけを実施。フォームのhiddenフィールドにGCLIDやトランザクションIDなどの一意のIDを埋め込む。フォーム送信と同時に、広告経路を保持したまま成果データを取得可能。
広告ID(ユーザー)を特定し高精度の広告最適化・成果把握を実現する方法

上記の網羅的なリストの各経路の最後にあるユーザーを特定する方法で取得できる、Google広告の gclid や Google Analytics の utmパラメーターを利用して、広告単位・ユーザー単位での成果を特定できるようになると、
どのユーザーを正確な成果として計上するのか?どのユーザーで広告の最適化を実施するのか?(学習させるコンバージョン指定)
などをコントロールできるようになります。
具体的には以下のようなことを実施します。
- CSVやエクセル、Googleスプレッドシートなどでgclidや transaction_id を出力
- Googleアナリティクスや社内の管理シートなどと照合
- gclidは広告アカウントにアップロード
この結果として、例えば以下のようなことが実現されます。
- 月200件のLINEタップのうち、実際に予約に繋がったのは30件(成果計測精度大幅向上)
- 今後はこの30件のデータを元に広告の自動最適化が可能に(広告ターゲティング精度大幅向上)
LINEや電話など、非ECビジネスにおける主要なコンバージョンチャネルでは、正確なトラッキングが困難なケースが多く存在します。しかし、ツールや設定を工夫することで、ユーザー単位でのトラッキングが可能となり、広告の自動最適化にもつながります。
全てのチャネルで完璧を目指す必要はありません。自社の主要チャネルから少しずつ取り組むことで、マーケティングの成果を確実に高めていくことができます。
今後個別具体的な実装方法やツールについてもご紹介していこうと思いますが、具体的な実装の代行が必要な場合は是非お問い合わせ下さい。
株式会社 GLASS代表。広告からSEOなどあらゆるデジタルマーケティングに精通するデータアナリスト。徹底的に現場に根付いた、スピーディーでシンプルなデータ分析環境の構築と施策推進を得意とする。
<経歴>
株式会社マイネットでモバイルCRMサービス(後にYahoo! JAPANに売却)のマーケティング部長、モバイルアプリ事業を立ち上げ。Googleで広告代理店営業マネージャーとして国内50社以上の広告代理店のコンサルティング。通信テクノロジー業界シニアアカウントマネージャーとして大手企業向けのマーケティング支援に関わる。