クライアントの広告配信などのマーケティング支援において当社GLASSでは、GA4のBigQueryのデータを活用しております。GA4自体が非常にやっかいな代物なのですが、BigQueryを使うことが現状総合的に見てレポーティングにおいては最適だと判断しております。
そんな中でもトラフィック情報でやっかいな問題が「トラフィック獲得の流入元情報」でした。これは、旧Google Analytics(UA)ではデフォルトで表示されていたセッションベースでの流入元情報のことです。
これまで:”event_params” で非公式対応
このこれまで普通に使っていたデータがGA4 BigQueryでは2023年6月途中まで正式にはサポートされていなかったのです。ただし、一応非公式ながら “event_params”という配列内でイベントに含まれている場合だけ表示されていました。
これは実際にGA4 BigQueryを集計に使っている方はわかると思いますが、集計が非常に面倒です。手間とコストが掛かります。
また、実はこの集計方法では、GA4のUI(管理画面上)の数値と多少異なるケースがあります。360の有料版でも発生するため、Googleのサポートに問い合わせても公式にはトラフィック獲得の流入元情報はBigQueryエクスポートに対応していないので、データは正確かどうか担保できない、サポートできないということでした。
この状況がちょっとだけ解決に向かって行く兆しが見えました。
これから:”collected_traffic_source” で公式対応
2023年6月上旬頃にレコード単位でそのセッションにおけるトラフィックソースが出力されるようになりいました。私が調べている範囲ではサイレントリリースになります。
collected_traffic_source RECORD にはイベントと同時に収集されたトラフィック ソース データが含まれます。
[GA4] BigQuery Export スキーマ – アナリティクス ヘルプ
フィールド名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
manual_campaign_id | STRING | イベントと同時に収集された手動キャンペーン ID(utm_id)。 |
manual_campaign_name | STRING | イベントと同時に収集された手動キャンペーン名(utm_campaign)。 |
manual_source | STRING | イベントと同時に収集された手動キャンペーンのソース(utm_source)。 |
manual_medium | STRING | イベントと同時に収集された手動キャンペーンのメディア(utm_medium)。 |
manual_term | STRING | イベントと同時に収集された、手動キャンペーンのキーワード(utm_term)。 |
manual_content | STRING | イベントと同時に収集された追加の手動キャンペーンのメタデータ(utm_content)。 |
gclid | STRING | イベントと同時に収集された Google クリック ID。 |
dclid | STRING | イベントと同時に収集された Google マーケティング プラットフォーム(GMP)ID。 |
srsltid | STRING | イベントと同時に収集された Google Merchant Center ID。 |
BigQueryではこのようになっています。
ちなみに、これとは別で “traffic_source”はユーザーを最初に獲得したトラフィックソースでユーザー単位になります。
traffic_source RECORD には、ユーザーを最初に獲得したトラフィック ソースに関する情報が格納されます。この RECORD は当日表では使用されません。
注: traffic_source のアトリビューションは、クロスチャネルのラストクリックに基づいています。traffic_source の値は、ユーザーがインストール後に次のキャンペーンを操作しても変更されません。
フィールド名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
traffic_source.name | STRING | ユーザーを最初に獲得したマーケティング キャンペーンの名前。このフィールドは当日表では使用されません。 |
traffic_source.medium | STRING | ユーザーを最初に獲得したメディアの名前(有料検索、オーガニック検索、メールなど)。このフィールドは当日表では使用されません。 |
traffic_source.source | STRING | ユーザーを最初に獲得したネットワークの名前。このフィールドは当日表では使用されません。 |
出力するとこんな感じです。
ここが惜しい
ちなみに、現時点では以下のような点が私が確認している時点での惜しいポイントです。
- Google広告の自動タグの反映されていない → 手動付与推奨
- 過去に遡って反映されない → 少し様子を見つつ、2023年下半期中くらいに “event_params” から “collected_traffic_source” にクエリの参照元切り替え
いずれにしても、GoogleがGA4のBigQueryエクスポートでも正式に対応してきたのは非常に嬉しいことですね。管理画面に対して数値の誤差などが起きやすいのでBigQueryでの利用はご注意くださいませ!
株式会社 GLASS代表。広告からSEOなどあらゆるデジタルマーケティングに精通するデータアナリスト。徹底的に現場に根付いた、スピーディーでシンプルなデータ分析環境の構築と施策推進を得意とする。
<経歴>
株式会社マイネットでモバイルCRMサービス(後にYahoo! JAPANに売却)のマーケティング部長、モバイルアプリ事業を立ち上げ。Googleで広告代理店営業マネージャーとして国内50社以上の広告代理店のコンサルティング。通信テクノロジー業界シニアアカウントマネージャーとして大手企業向けのマーケティング支援に関わる。