「毎月のレポート、ちゃんと見てもらえてるのかな?」
マーケティングの現場でよくあるこの悩み。Looker Studioで定期配信を設定しても、メールで埋もれてしまい、確認されないまま…というケースも多いのではないでしょうか。
今回は、GAS(Google Apps Script)などのコードを書かずに、非エンジニアでも簡単に構築できる「Looker Studio × Make × Chatwork」での自動レポート共有の仕組みをご紹介します。
特にChatworkは、士業・中小企業・行政系など、メールよりもチャットベースでやりとりを進めたい現場で多く採用されています。本記事では、Chatworkと連携する前提で実際の手順をご紹介します。
課題:Looker Studioレポート、メールで埋もれていませんか?
Looker Studioには、レポートのPDFや画像を定期的にメールで配信する機能があります。
ただ、このメール通知だけでは、次のような課題が残ります。
- 他の通知ややりとりに埋もれやすく、見逃される
- 内容を確認したいときも、メールを掘り返さないといけない
- 議論やフィードバックのやりとりが発生しづらい
このような状況では、せっかくの可視化データも活かされません。
そこで今回、普段からやりとりを行っているChatworkにレポートを直接送る仕組みを構築しました。
全体像:Looker Studio × Gmail × Make × Chatwork 連携フロー
この仕組みでは、次のようなフローでレポートを自動投稿しています:
- Looker Studioで、毎月レポートをPDF付きでGmailへ自動送信
- MakeがGmail受信トレイにて該当メールをチェック
- MakeがメールからPDFを抽出し、Chatworkに投稿
実装手順:PDFを自動でChatworkに投稿する方法
① Looker Studioでレポートの定期配信を設定
Looker Studioの「共有」→「配信のスケジュール」機能を使い、
毎月1回、PDFつきで自分のGmail宛に送るように設定します。

設定タブでは、出力するページと配信の頻度などを設定します。
フィルタタブでPDF化する際にレポートに適用するフィルタを変更できるので必要に応じてそちらも調整してみてください。

② Makeでメール受信を監視してChatworkに投稿する
Makeにログインし、新しいシナリオを作成します。

先に完成形を示します。構成は以下の通りです。
- 定期的にメールを監視するGmail > Watch Emailsモジュール
- 添付ファイルを抽出するGmail > Iterate Attachmentsモジュール
- Chatworkに添付ファイル付きで投稿する HTTP > Make a requestモジュール

Gmail > Watch Emailsモジュール の設定内容はキャプチャの通りです。
Queryは以下のように指定します。
from:looker-studio-noreply@google.com subject:"○○様 - GLASS-GA4ダッシュボード" filename:pdf
subjectの部分はメールタイトル(の一部)を検索条件として指定します。今回のケースではこのメールタイトルにLookerStudioのファイルのタイトルが使われるため、それを指定しておきます。

Gmail > Iterate Attachmentsモジュール の設定は以下の通りです。
入力としてWatch Emailsモジュールを指定するのみの設定です。

最後にHTTP > Make a requestモジュールです。

URLは https://api.chatwork.com/v2/rooms/<room_id>/files を使います。
<room_id>はChatworkでルームごとに割り当てられた9ケタの数値です。
投稿を行いたいルームの設定より「グループチャットの設定」を選択、ダイアログの下部で確認できます。


X-ChatWorkTokenはChatworkのアカウントメニューから「サービス連携」を選択し、APIトークンの画面から発行を行ってください。
※APIの初回利用時はChatworkの組織管理者宛てに利用申請が必要な旨のメッセージが表示されます。画面に従って申請を行ってください。


HTTPで送信するフィールドは以下キャプチャのように指定してください。
Item 3のメッセージは任意です。ファイルと共にメッセージを送付したい場合に指定してください。PDFを見て詳細を確認したいケースのために、LookerStudioのレポートへのリンクを貼っておくと親切だと思います。


最後に作ったシナリオの実行タイミングを設定します。
Makeの画面下部「Custom schedule」からダイアログを開いて、LookerStudioの配信スケジュールより後に定期的に起動するようにします。
今回の例では、LookerStudioにてレポートが毎月2日の10:00にメール送付されるように設定したため、それ以降の10:30に実行されるようにしました。

設定は以上です。
運用の工夫と効果:手作業ゼロ、会話も活性化
今回の仕掛けで以下のような効果を狙えると思います。
- マーケターが月初に手動で送っていたレポート配信がゼロに
- クライアントはChatworkの通知で即レポートに気づける
- PDFとともにLooker StudioのURLも共有されるため、深掘りも容易
- Chatworkでそのまま質問やフィードバックができ、会話も活性化
まとめ:非エンジニアでもできる、Chatwork連携の業務自動化
GASに頼らず、ノーコードで実現できるレポート共有の自動化を紹介しました。
Makeを使えば、技術的なハードルなしに業務効率化が可能です。
また、チャットツールとしてSlackを活用している場合でも、Makeの一部設定を変更するだけで同様の自動化フローが構築可能です。
柔軟性が高く、現場ごとに合わせた運用ができる点もこの方法の大きなメリットです。
GLASSでは、WEBマーケティングで活用できるGA4やSearchConsoleのLookerStudioテンプレートを無料で提供しています。
これらのレポートと今回の自動化の仕掛けを組み合わせれば、低コストで毎月のレポート作成から送付までを自動化できます。ぜひお試しください。

株式会社GLASS CTO。2010年、株式会社日立製作所にてIT新技術の調査・検証、Project Management Office、システム開発、マーケティング業務に携わる。2017年、株式会社Webios 取締役副社長 / CTO に就任。2018年、GLASS開発チームに参画。
AWS,GCPでのクラウドシステム開発、Ruby,PHPでのスクラッチ開発、CMS,ECパッケージでのサイト構築(WordPress / WooCommerce, MovableType, EC-CUBEなど)、kintoneでのシステム開発などに携わっている。